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美容外科は宣伝が必要で、ある種の良いことを沢山表現する必要があります。悪い話ばかりでは患者さんは来ません。雑誌などの広告で「鼻にシリコンを入れると10年後に皮膚を破って飛び出すこともあります」などと書いたら、誰も手術を受けないでしょう。このあたりが難しいところです。しかし、どんなビジネスでも一緒です。車の広告でもよくあるリコールのように「エンジンから火を噴く恐れがあります」などと宣伝はしません。よいことばかりを書くのです。あとは消費者がいかに見分けていくかでしょう。ショールームに行って話を聞いて、ご自身が決断するのです。美容外科も同じです。良いことばかり書いてある広告からご自身が判断し、信用できるクリニックに行くのです。車なら動かないわけはありませんし、よく故障をしても文句があって直してもらうだけです。しかしご自身の体はそういうわけにはいきません。リスクを十分理解する必要があります。切ったら傷跡が残らないわけはありませんし、必ず腫れます。時に予想もしないトラブル・アクシデントも起こります。失敗(車だと不良品)もわずかですが必ず起こります。私自身、手術などで失敗したことはないですかと聞かれると、もちろんあります。ただ、失敗した患者さんに誠意を持って対応し、きちんとお話しします。技術的な未熟や無知でなければ失敗の原因は必ずわかります。そこに至った理由を説明する義務はあるでしょう。私自身美容外科医として一流ですかと聞かれたら、何とも答えられません。そうなるように努力はしていますし、誠意を持って治療にはあたっています。複数の大学で正規の研修を受け、美容外科開業医の諸先輩のもとで勉強もしましたし、資格も取っています。しかし年に何万例も手術できるわけはありませんし、芸能人御用達でもありません。
過去のお話としてですが、医師としてまだ数年目の頃は認定医の資格もなかったですし、正直に言ってもう少し慎重にしていたら上手くいったはずなのにと思うことが沢山ありました。自分の技術が向上してきて、手術で過去に失敗した患者さんのことを思うと、現在の自分ならまず失敗しなかったのに未熟だったと思うこともあります。医師の研修というのはこのような経験を積んでいくものです。もちろん研修のための大学病院では教授・助教授などベテランが手術に立ち会って、未熟な医師を監視しながら手術をさせますので、失敗しそうになったら事前に回避させてくれます。しかし良い上司ばかりではありませんから患者さんを医学の実験台にしているような人もいましたが。
さて、本題に戻ります。ウソの部分というのは実際には嘘をついているのではなく、悪い部分・副作用などを隠すということです。「腫れない」という表現は言語道断です。かつてはこのような表現も多く見られましたが、現在では「腫れが少ない(ことが多い)」など決してウソではない内容になってきました(もちろん中にはひどく腫れることもあると思いますが)。あとは皆さんがいかに用意周到に調べていくかです。車を買うときに、行ったその日に買いますか。営業マンの言うとおりにして何も調べないですか。エンジンは何馬力だとか内装はどうだとか調べた上で、きちんと実車を見て、試乗したりしますよね。美容外科は医者に任せれば安心ですか?どんな治療法だか難しくてわからない、勧められるままに即日手術をするのが良いのでしょうか。やっぱりきちんと調べ知識をつけて、疑問点は聞くべきです。車購入で営業マンが質問に答えられなかったら、その車を買うか迷いませんか?そう全く同じです。それで納得すれば他人が評判悪いと言っていても関係ないでしょう(壊れやすいイタリアの車だって本人が好きなら問題ないでしょう)。大手チェーンでも個人でもその医師を信じることができたら、気に入ったら手術ということが良いと思います。
また、雑誌などで取り上げられている最新の治療法が本当によいのでしょうか。「新しい=素晴らしい」ではありません。雑誌は無責任なところもあります。美肌などで良く取り上げられている医師が学会でも有名でしょうか。実際は異端児だったりします。もちろん有名な先生もいますが。大抵は日本でも数少ない美容ライターさんがつい聞けるところがないからいつもの先生に聞いてしまうというのが現状です。そして雑誌に出るほど有名になり、クリニックも繁盛します。しかし実際に雑誌の編集者さんはそのクリニックでは普段のスキンケアはせず、全く別のクリニックに受診していたりします(そんな新しい方法、危険で私はとてもできないなんて言ってしまう人もいます。でも書くのは商売だし、新しい治療法を書かないと読者は飛びつかないから........)。私への雑誌の取材も、もともとはある編集者さんが取材をされて、評判が良かったからと色んな雑誌の編集さんに伝わって取材を申し込んできてくれます。変な言い方をすれば、これを利用して沢山の雑誌に読者の目を引くような画期的な方法(結果は別として)を提供することもできますが、良心が痛みます。きっと。
ある雑誌で掲載されていたニキビの画期的治療などはもともと皮膚ガンの治療法でした。そんな危険な方法をするのはニキビにはどうでしょうか。確かによく効くかもしれませんが、例えば歯の痛みに対してガン末期に使うようなモルヒネは使用しませんよね。よく効くでしょうが、副作用が心配です。その場限りの効果を求めて危険に身をさらすこともあるのです。でも雑誌にはそんなことは書いていませんし、医師も絶対に言いません。安全と判断するかどうかは医師の裁量ですが、そこまで医師が考えていなければおしまいです。体は失敗すれば取り替えるということはできません。
例えばレーザー脱毛も20年後の結果は誰も知りません。つまり永久かどうかわかりません。機械が開発されて数年です。そんな先の結果はありません。またアメリカで永久脱毛機として認可されていても実際にアメリカの基準は毛が少し生えても永久脱毛なのです。それも一定期間の観察のみで! 日本人の感覚とは違います。実際のレーザー脱毛は産毛は残りますし、長期には少し生えてきます。永久脱毛とは言えません(私はこの点を患者さんにお話しします!)。でも一般に広告は「当院のレーザー脱毛機は最新型でアメリカFDAの永久脱毛の認可を得ています。無痛の画期的なものです。むだ毛の処理とおさらば!」と表現します。間違いではありません。しかし通常の感覚の永久脱毛とは違いますし、痛みのない人もいれば痛がる人もいます(ダイオードでもアレキサンドライトでも)。むだ毛の処理はないかもしれませんが、産毛は生えますし、この個人差があるために治療終了後も時にむだ毛処理をする人もいます。
御本人が勉強してしっかりと知識をつけて、そのリスクや問題点がわかれば、美容外科は決して怖いところではありません。幸福のための医学という表現もあります。
医療は神聖なものという認識が強いかもしれませんが、だからといって医師任せになってはいけません。しっかり勉強してからご自分の体を治療して下さい。そのための一助となるようにホームページを読んで下されば幸いです。遠方の方も構いません。当院に来ることがホームページの前提ではないのです。美容情報としてしっかり読んで、皆様の治療後のトラブルが減少することを祈念します。