ウルセラの副作用について
ウルセラは危険領域を避けて照射する
ウルセラシステムは高密度焦点式超音波HIFUの理論を用いた機器です。高密度焦点とはその名の通り、超音波を局所に集中して、組織に強い熱作用を生じさせます。
これはレーザーのように特定の物を破壊する作用ではありません。特定の深さ(ウルセラシステムであれば3ミリや4.5ミリの深さなど)に対して熱を発生させます。超音波断層画像、いわゆるエコー(肝臓断面を検査したり、子宮内の赤ちゃんを見たりする機器)が装備されており、この画像を見ながらリアルタイムに照射するべき標的を定めて施術します。
主に皮膚の深部やSMASという脂肪と筋肉の間にある組織を標的としますが、その部位には重要な神経や血管もあります。解剖学的な知識をもとに、危険な領域などを避けて照射をおこないます。
額の治療は事前説明が必要
但し、どうしても避けきれない部位があります。代表的な部位は額です。ここには頭皮への知覚神経があり、ちょうど照射する深さに走行しています。ここに当たってしまうと頭頂部へ響くような痛みが走ります。ちょうど肘をぶつけたら手の指が一瞬しびれるのと同じです。神経は神経鞘など保護する膜に覆われており、ウルセラシステム照射で切れてしまうようなことはありませんが、瞬時にはしびれが生じてしまいます。そしてその中のある確率において、数週間の頭頂部違和感が残ります。日常生活で困ることはありませんが。ブラッシングなどをすると頭頂部へ響くような違和感が生じます。ずっと残るようなものではなく、一定期間ではありますが、特に額の施術を受ける方においては事前に説明をさせて頂いています。
神経の走る領域への照射は「絶対的禁忌」
頬内側にも同様の神経があります。唇の感覚を司る神経で、歯医者で麻酔をした時にしばらくしびれた感覚が残る経験があると思います。そのような症状が生じると、うがいなどが上手く出来ない事があります。もちろんウルセラシステムにおいては永久的な副作用ではありませんし、極端な麻痺は生じませんが、違和感が出てしまいます。自然に治りますが、まれに見られるもので注意が必要です。これを避けるためには、神経走行部を避けて照射することです。よって、当院ではその神経が走行する頬内側やほうれい線周囲には照射をおこなっていません。
他に顎の内側、唇の外側あたりには顔面神経が通っており、ここに照射すると唇の動きに影響があります。一時的ではあってもこれは問題となります。そのためその神経が走る領域は絶対的禁忌として照射することはありません。似たような症状が同部の照射をしていなくても起こることがあります。これは深い照射において唇を引っ張る筋肉が腫れてしまい、引っかかるように動きに制限が生じる事で起こると考えています。普通の顔の形状では生じませんが、痩せた顔においては、筋肉の走行には気を付けて、超音波画像で確認をしながら照射をおこなうことも重要となります。
また超音波機器の故障や接触不良においては、皮膚に小さな傷が生じる事があります。深く照射されるはずが浅いところに照射されると同部が焼けるために起こる現象です。現在の照射手技では滅多に起こるものではありませんが、正しい手技で照射することが基本となります。
治療には知識と正しい手技が必要
ウルセラシステムはその効果も大きいものですが、解剖学的知識と正しい手技が重要な治療機器です。この機器は当初は形成外科医にのみ販売をしていたという経緯もあり、十分な知識を持って医師が実施をしているかが大きなポイントとなるでしょう。
当院はウルセラシステムが日本に導入された当初から使用しております。日本で最も長い経験があるクリニックです。他院も含めた様々なトラブルケースも見てきており、また国内外の学会などでも本機器の講演をしております。安全面においては最大限の配慮が可能です。